
金賢姫元死刑囚 「拉致」究明へ日韓連携を2009年3月12日(木)1時39分配信 読売新聞
北朝鮮による拉致問題の真相究明に向け、日韓両国の連携を強める契機にしたい。 1978年に北朝鮮に拉致された田口八重子さんの家族と、87年の大韓航空機爆破事件の実行犯で、田口さんから日本語教育を受けた金賢姫元死刑囚との面会が、韓国・釜山で初めて実現した。 田口さんの長男の飯塚耕一郎さんは、田口さんが拉致された当時1歳で、母親の記憶がない。金元死刑囚と会い「母親像」に近づきたいと、04年から面会を強く希望していた。 金元死刑囚は面会で、飯塚さんたちに、81年から約1年8か月間、「李恩恵」と呼ばれた田口さんと生活した当時の様子を伝えた。横田めぐみさんについても「工作員の同僚に日本語を教えていた」などの消息を明らかにした。 今後も交流を続け、日本人拉致被害者の安否確認などに少しでもつなげてもらいたい。 北朝鮮は、02年に小泉首相が訪朝した際、田口さんの拉致を認めた。田口さんは84年に別の日本人拉致被害者と結婚し、86年に交通事故死したと説明した。 だが、86年以降も田口さんが生存していたことをうかがわせる証言が、日本に帰国した拉致被害者から政府に寄せられている。 そもそも、北朝鮮は、大韓機事件について、「韓国のでっち上げ」であり、「李恩恵」という日本人女性は存在しない、と強弁している。その主張が崩れるのを恐れ、田口さんたちの詳しい消息を隠しているのではないか。 北朝鮮が、国際テロを実行する工作員の教育に拉致被害者を利用したのは明らかだ。工作活動の実態も解明する必要がある。 今回の面会は、韓国で李明博政権が発足し、盧武鉉前政権の対北朝鮮融和路線を転換したことから可能になった。 韓国は、数百人の国民が北朝鮮に拉致されているという。日本人拉致被害者の消息や安否確認につながる北朝鮮の内部情報なども、日本より豊富だろう。日韓連携は大きなプラスになる。 北朝鮮は、昨年8月の日朝協議で合意した拉致被害者の再調査をいまだに実施していない。日本政府が督促しても、応じようとしない。極めて不誠実だ。政府は、再調査を繰り返し要求すべきだ。 北朝鮮は現在、ミサイル発射準備を進め、緊張を高めようとしている。政府は、米韓など関係国と連携し、核、ミサイル、拉致の包括的解決を図らねばならない。
ところで個人的な見解であるが、3月11日午前、韓国の釜山市内で会見した金賢姫元死刑囚は「日本政府のこれまでの取り組みをみていて、北の自尊心を傷つけないようにしながら、心を動かす方法を考えるべきではないかと感じた。・・・」と発言している。これまで日本は北朝鮮に対して経済制裁で対応してきたが、小泉首相後は時間ばかり経過して、拉致問題は一向に進展していない。今後の交渉は硬軟取り混ぜた柔軟な対応が必要ではないだろうか。先日行われた北朝鮮の最高人民会議の第12期代議員選挙の当選者に金正日総書記の3人の息子の名前がないことは、総書記が健康回復によって、無理に後継者を公表する必要がないからなのではないか。金正日体制が当分続くのであろうか。そうであれば、なおさら経済制裁とともに総書記の心を動かすような交渉が必要ではないだろうか。

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